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雀ゴロへの挑戦2 [つかぴょんの実録麻雀小説]

 次の半荘が始まる前に、トイレ休憩、小休止となった。

私は気持ちを落ち着かせいろいろ考えていた。先ほどの、フリテン片あがりはまさに驚愕だったが、あれは最終形がどうあれ、普通に打っていてもリーヅモドラドラ12000のあがりだ。

例え、片あがりが可能だとしても、一度つもあがった手をフリテンリーチに受ける局面はそうそうないだろう。それは、結構リスキーな選択なはずだ。フリー麻雀は、きれいな手をつくることが目的ではない。どんな愚形だろうが、あがればよい。一発ウラのチップなどのご祝儀も勘案して、結局の所1円でも多くのお金を持って帰ることができれば、それで良いのだ。

仲間内の麻雀とは目的が違う。あのチャンタ三色を手役に惚れてフリテンリーチを打つなど、愚の骨頂だ。それをいくらフリテン片あがりルールがあるからといっても、それは麻雀を舐めている。下のチャンタ三色を意識するのなら、序盤に④を切り飛ばしておけばよいだけの話だ。

手なりで打っていて、気がつくとチャンタ三色になっていた、もったいないからフリテンリーチを打った。そんな意思のない麻雀。ツモあがりより、ロンあがりを重視した麻雀なのだろう。「こいつら、たいしたことないな」とそう感じた。ただ、先ほどの①ピンの振込みでその卓の格付けが決まってしまった。むしろたいしたことないのは、私のほう。残念ながらにカモと思われてしまっていることは、容易に想像できた。

濡れた手をズボンで拭きながら、トイレから雀ゴロがでてきた。先ほど私をぶっとばしてくれだ御仁である。その雀ゴロは意気揚々と卓につき

「ようし、次いくぞ!兄ちゃん、今度は飛ぶなよお?ああん?」
そう吐き捨てながらサイコロを振った。

「余計なお世話だ。今にみてろ。飛ぶのは貴様のほうだ。」

そう思いつつ、とても好配牌とは言い難い東1局の13枚に視線を落とした。とにもかくにも牌勢も気持ちもバランスを崩したまま、2度目の半荘がスタートした。とにかく防戦に終始しながら、手牌に形が入るのを待ち続ける私。今は辛抱だ。東の親も手にならず、ツモられ点棒を減らされ赤ドラにも見放され、南場突入時には、16000点くらいしかなかった記憶がある。(20年以上も前なので詳細は定かではないのだけれど)そんな、南場の1局か、2局目、これまた最後の親番を迎える前に、またしても事件が起こった。

「チー」くぐもった声で、かったるそうに吐き捨てて、親番の対面は上家の捨てた②ピンをフーロする。下の三色をおもわせる、カン②ピンとペン7ソウのチーが2つ晒されている。赤牌が三環帯に入っているので、下の三色には常に注意が必要だ。8ソウがドラなので、チャンタ三色ドラドラ。親満コース。キー牌をうまく鳴けた形の2フーロである。ソーズやマンズの下はもう切れない。聴牌気配もバリバリだ。ツモ山に手を伸ばすイーシャンテンの私。ツモ牌は「2ソウ」・・。「こいつは切れない」。よしんば通ったとしても、こんな牌を切ると舐められる。これ以上奴らの風下に立つのはごめんだ。2ソウを手の内にしまいこみ、5ソウを切り出す私。345のターツを234に変化させた手格好だ。「よし、なんとかうけきってみせるぞ」賢明な選択なはずだ。 だが・・・・。  
 「ロン!ぬるいのう、兄ちゃん。イッツー赤ドラ、親満州じゃい!」

12346789⑧⑧①②③.カン5ソウ待ち。赤3ソウを使ったチャンタチックな一通である。不ヅキなときにありがちな振込みである。「やられた!」驚きと動揺を隠せない私。

ん・・・ん・・・・?ん!イッツー赤ドラ・・。え?5800点じゃない?

誤申告にもほどがあるぞ、ふざけやがって。物申す私。店員のほうを向いて口を開く。(雀ゴロ怖いからね)「イッツードラドラ、ゴッパですよね?」すると、また雀ゴロが返してきやがった。

「にいちゃん?この店じゃあ、イッツーは三ハン役なんや。鳴いて二ハン、面前で三ハンや。はよ、12000払いないや?」

 

えええええええ?何じゃそりゃ。i今作っただろう?魔界のルールか何かですか?うおお、これはいかん。非常にまずい。他にも出鱈目なルールがあるかも知れない。もう格好をつけている場合ではない。私は対局を中座してもらい店員に詳細ルールの説明を求めた。

しかしワシズ2.jpg
特殊なルールは以下のとおり。①フリテン片あがり有りイッツーチャンタは3ハン、ジュンチャンは4ハン。(それぞれ鳴くと一ハン下がる)③東と南の両方をアンコウ、もしくはミンコウにしてあがると500円のご祝儀(店の名前にちなんで)④メンホンチートイは小車輪扱いで6ハン
なるほど、先の半荘で私がふっとばされた親倍、あれ、もう1ハンあればトリプルだったのね。

むうううう。結局2度目の半荘は飛ばずにすんだものの、ダンラス。半荘2回で、9000円近く溶けている。最初に予定していた金額10000円に、わずか半荘2回でほぼ到達してしまった。博打の麻雀は溶け出すと早い。

冷静に考えてみる。状況はどうみても最悪。ラス半コールをして、今日は帰るべきである。取り返すには3回のトップが必要だ。自問自答してみる。勝ち目がないのはもう重々理解できている。だが、なんともやりきれない気持ちが自分の中に残っている。「悔しい。このまま帰れるものか!」カゴの目をやる。まだ2万残っている。

まだ、打てる。雀ゴロどもよ、欲しければ全部くれてやる。もう、ドラクエもパチスロもどうでもよくなっていた。場変えも不要だ、この席で勝ってやる。

「にいちゃん、今度は飛ばんかったなあ?ひひひ、次、いくか?ああん?」

雀ゴロの問いかけに私は無言で頷いた。仲間との暖かいセット麻雀が、とても懐かしく恋しかった。   もう、お金のことは忘れよう。もう、こそこそ小器用に立ち回るのは止めよう。とにかくまっすぐ攻めよう。いつしか、入店時のふわふわした気持ちは完全に消え去っていた。そして、三回目の半荘が始まる。私は「どんな配牌でも仕上げてやる」そう強く念じながら、牌山に手を伸ばした。  つづく

雀ゴロのいるフリーで無謀にもルール説明を拒否したつかぴょんさん。はたして結末は?… 完結編は今週中にUP


注: 町のフリー雀荘→雀ゴロ→怖い→増血してから行く…といった、つまてつの勝手な雀ゴロさんのイメージからの画像です。このお店は実在するそうですが、実際の雀ゴロさんはこのようなワシズチックなイメージでは決してない事を注釈しておきます(-。-)y-゜゜゜
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drunky

も、もはや完全に劇画の世界(汗)

最後はどうなったんでしょう、続き楽しみです!
by drunky (2011-06-22 18:20) 

つまてつ

drunkyさま

のりのりですよね^^;
この方、恐らく本書けますね。たいしたものです。
金曜当たり完結編UPします!
by つまてつ (2011-06-22 23:17) 

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